読者だからって安心してんなや、とは三郎も言っていないが

 奈津川家の暴力は遂に読者をも捉えるなどと言ってみてもまったく意味ナシゴレン。それでもって、なんだ三郎、やっぱりあんたは頭使ってるんじゃんあんた頭使ってるやんはっはっは、と感化されまくってる私は馬鹿。
 この小説には物語への言及が随所に見られる。それがこの小説を読み込む上での鍵だろうなという気はする。まあ小説の「解釈」なんてそれこそ5百億万通りぐらいあるわけだけど。ただその自己言及性ゆえに、この『暗闇の中で子供』はとても生真面目に小説に取り組んでいるように思えるんだ。