未完SF小説"LINK TO THE STARS"

 隊長あなたすご過ぎですよ。小説まで書かれるんですか? おかげでこちとら今朝は寝不足+目脂+視力低下+αの憂き目をみましたよ。
このSF小説、かなり面白い。分量もさることながら(文字カウントで20,1419! 原稿用紙にして約500枚!それでいてまだ物語は中盤に差し掛かったところ!)小説としての完成度も抜群に高い。ディテールはいかにもその筋向けを装っているものの、話の展開は極めて巧妙なクロスカッティングでスピード感を保ち、小説の中ほどから1話ごとに挿入される回想録などは一般性の高いメッセージを持ってる。物の名前や技術史などの細部もよく作りこまれている(ように見える)。
 それにしても驚いたのは、例えば次のような記述。少女が人気のない夜の場末の路地に迷い込み、人の気配で振り返ると突如殴打されるシーンはまさに巧みとしかいいようがない。

 殴った男は、眼に憎しみを映している。もう一人が、後ろで壁にもたれかかって”戦況”を眺めていた。半身を何とか起こしたミグは、恐怖で後ずさる。
「遊んでる場合か。さっさと殺れ」
殺される。叫びをあげようとするが、口が開いただけだ。声が出ない。殴った男は気づいた。
「こいつ、カフェで”協力者”をお母さんと呼び止めた女だ」
「何だと?」観戦していた男は歩み寄ってきた。「それじゃ、お礼をしておかなくちゃな」
何なの。あたしが何をしたというの。協力者? ミグは混乱した。男はau端末を踏みつける。グキッという音がして、それは完全に破壊された。
四つの瞳孔が、冷たい視線を突き刺す。逃れるようにミグは下がる。しかし、その背にあるのは袋小路の壁だった。

 暗闇での出来事のため、男たちの外見はまったく描かれない。ただ"目"だけである。暗闇で浮かび上がる"四つの瞳孔"。BBSで「隊長の小説は絵が浮かぶ」と言ってる人がいたけれど、これだけ"小説の記述"レヴェルの配慮もされてるんだから浮かぶわけですよ。うますぎである。
 さらに驚くべきは一覧ページの章ごとに付された作成日。まさかこの短期間で、blogを書くように、あたまから順に書いていったのですか? ほんと隊長マンセーじゃなくても脱帽しますよ、これ。いやはや隊長は小説の技巧も習得されているのですか???
 ともかく作品に中てられてしまった読者としては2004/02/19で止まったままの更新を一日もはやく再開していただきたいものです。(BBSを見ると自分と同じように再開を望む人がいまだにいるわけで、およそ1年前に始まって今年の2月以来更新が途絶えているわけだから、これはもうホント"ファイブスター物語"も真っ青ですな)