Breaking the Habit

Meteora 歳をとるにつれて味の好みが変わるように音楽の好みも少しずつ変化していくものだが、一般的に舌が少しずつ薄味の料理を欲するようになるのに較べて、音楽の場合はどうなのだろう。やはり耳障りのいいほうへ聴きやすいほうへと変化していく傾向にあるのだろうか。だとすればいまの自分の体内磁石は少々ヘンだ。最近やたらとリンキン・パークが躰に沁みる。もう何にもする気にならないぐらいぐったりと疲れたときになぜか無性に聴きたくなる。そんなときは躰が渇いたスポンジのように彼らの音楽を求めているのを感じる。
だから私は、深くソファーに身を沈めて頭を空っぽにして彼らの歌声に耳を澄ます。音は躰を抜けていく。そのままじっとしていると、少しだけ躰がかるくなったのが分かる。そしてまたしばらくのあいだ彼らのことを思い出さない日常に戻る。躰がリンキンの曲にノスタルジーを感じ始めるまで。だがこれまでリンキンを聴き込んでいた時期は一度もない。なぜだ?