従業員ブログ@書店

 最近なんでもかんでも話をブログに引きつけて語ってしまうのは、ブログ中毒になりつつあるわたすのいけない傾向かもしれないが、今回の、紀伊国屋書店の古本取り扱い開始のニュースを受けて、日本中の古書店がブログを持つと面白いのになと思った。
 消費者の観点から見た古書業界のIT化に関して言えば、「日本の古本屋」(全国の加盟店の検索データベース)などはかなり実用的に機能しているし、自前のホームページを持つ古本屋も着実に増えていると思うのだが、ブログという、コミュニケーション機能に特化した「ホームページを定型的に表示できるツール(切込隊長)」を用いることで、仮想商店はより実際の商店に近い臨場感を得ることができるようになるんじゃないかなと思う。単に、すでに欲しいものが決まっている消費者から注文を受けるだけなら、現状の検索機能とホームページで十分かもしれないが、より積極的にインターネット上で消費者と交流を図るならば、少なくとも従来のホームページよりはブログのほうが柔軟性に富むのではないか、という程度のことだけど。
 それに、これは何も古書店に限った話でもないのだろう。大型書店の棚担当がブログを持つことも同じように有効に違いない。結局、大型書店で棚に収める本を決めているのは、最終的にはその棚を担当している個々の店員だということを考えると、彼らもまた大型書店のなかにあってジャンルごとに分かれた店内書店の店主のようなものなのだし。彼らがブログをもつことで、自分が頻繁にいくコーナーの担当者と、ブログの半匿名性を生かしてある程度の距離感を保ちつつ、交流することができるし、彼らは消費者の声を聞くことができるようになる。これは店側のマーケティングにも直接影響を及ぼしうる次元の話だ。「大型書店にとってのアキレスのかかとは、ブログというニッチなメディアの導入で、格段に柔軟性を増す」なんて言ってみたり。
 けれど、明らかにブログに傾倒しつつある私は、明日にも、いやもしかすると今晩にも、そのような企業の試みが現れてくるのではないかなと、密かに楽しみにしているのは本当だ。その無数の息遣いはもう私の耳には聴こえている(幻聴の恐れもあるが)。